SDGs、若い感性で表現 学生フォトコンテスト表彰

20171024.jpg 「国連デー」の10月24日、「SDGs学生フォトコンテスト」の表彰式が東京都千代田区の上智大学で行われた。2030年に社会の中核を担う若い世代に、持続可能な開発目標(SDGs)を自分ごととして考えてもらおうと昨年からスタートし、今年は全ての大陸に位置する73カ国から1002点の応募があった。主催は国連広報センターと上智大学。受賞作品は12月7日から9日まで東京ビッグサイトで開催する「エコプロ2017」のSDGsエリア内でも展示する。

 大賞(外務大臣賞)に輝いたのは 『リサイクル品を回収するCOOCASSOSの女性』で、資源回収に携わる女性の、普段の仕事の様子を写したもの。撮影したルイス・グスターボ・カバレーロ・シウバさん(ブラジル)は授賞式で、「サンパウロ・アシス市のリサイクル可能資源収集組合(COOCASSIS)の皆さんに感謝したい。彼女たちが、地域社会にいかに貢献しているかを表現したかった。増大する一方の大量消費社会を、いったん振り返ろう、とのメッセージをこめた。COOCASSISは、社会に取り残された人々を経済的に支えると同時に、男女平等を推進し、環境保全にも貢献している」と作品の背景を解説した。そして「この賞は、私が住む街だけでなく、ブラジル全土で持続可能な開発について議論するきっかけになると思う。今後も写真を通じてSDGsのメッセージを発信していきたい」と決意を語った。

 また難民や移民と共に暮らせる多様性に満ちた社会づくりを目指す、グローバルキャンペーン「TOGETHER」にちなんだTOGETHER賞は、マレーシアの難民施設で子供たちが笑顔で学習する様子を伝える『教育という希望』に贈られた。審査に参加したUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日代表代行の小尾尚子さんは「この作品に登場するのはマレーシアに逃れたミャンマーの少数民族・チンの子供たち。彼らはコミュニティーで学校を作り、自分たちの言葉や文化を教えている。その表情からは『勉強が楽しい』という言葉が聞こえてくるようだ。『難民』のイメージは決して明るいものではないが、彼らも私たちと同じように、希望や期待、夢を持って、将来を見据えながら毎日暮らしている、と気付かせてくれる一枚だ」と講評した。

 「コンセプト賞」の『私の心を傷つけないで』は、ロシアのソファア・オヴォレンツェヴァさんによる、割れた鏡に映った女性の写真。「全体的に報道写真的なストレートな表現が多い中、異彩を放つ作品だ。隠喩として現代社会が直面する様々な難題を表現しているように思える」との講評があった。

 『空に舞う凧(たこ)』で入賞した若林絵里香さん(慶應義塾大学)は「山と積みあがったゴミの上で、大変な思いをしながらも凧揚げを楽しんでいる子供たち。このギャップに心を打たれ、カメラを向けた」とコメント。同じく入賞の『レールウェイスラムでの入浴』を撮影した竹田有里さん(上智大大学院)は環境問題のドキュメンタリー番組を制作している。取材のために訪れたインド・コルカタで、たくましく生きる子どもたちの生命力に圧倒され、思わずビデオではなくカメラを向けた1枚をエントリーしたという。大久保楽さん(慶應義塾大学)による入賞作『日常』は、線路上を歩いて物資を運ぶ子供の様子で、危険な場所と日常の生活空間とが一体化している状況を1枚の写真の中に描いている。

 その他の受賞作は下記の通り。

◆優秀賞(3点)

『漁師』モハンマド・ラキブル・ハッサンさん(バングラデシュ)

『遠い現実』ブルース・ティマナさん(ペルー)

『子ども時代の苦難』マシュー・パー・クウェシー・ウィリアムズさん(ガーナ)

◆入賞(9点)

『まなざし』キアラシュ・エグバリ・セレシトさん(イラン)

『生活に笑顔をもたらす水』タイ・グエンさん(ベトナム)

『夢を追いかけて』プラビラ・タルクダールさん(インド)

『絆』リス・ドーレアさん(ブラジル)

『全ての人に教育を』パーサ・バニックさん(バングラデシュ)

『キロンボの少女』ジョアォン・アタイーデさん(ブラジル)

 オープニングセッションでは「SDGsを私たち学生の視点から考える」をテーマに、上智大生83名で構成する学生NGO「めぐこ」が教育に関する活動を紹介。またこの夏、南インド・ケララ州でフィールドワークに参加した学生も、環境問題について発表した。

20171024_02.jpg 表彰式の後、写真家のレスリー・キー氏、お笑いタレントの木村祐一氏、国連広報センター所長の根本かおる氏による審査員パネルセッションも行われた。学生たちの作品に学ぶことが多い、というレスリー氏は「大人たちは仕事や家族への責任があり、どうしても忙しく、世の中への関心が低い人も多い。学生の皆さんが気付いたことを写真にしてくれて、大人がそれを見て一緒に考えてくれたらいいと思う」と話した。写真を使った漫談の「写術」に取り組んでいる木村氏は「(入賞した作品は)どれも、もう端から端まで見たいんですよ。こうして発表することで創作意欲が掻き立てられると思うので、ますます楽しみですね」と撮影者たちの技術を高く評価し、今後に期待していた。

 根本氏は「SDGsは政府や国連機関だけのものでなく、ひとりひとり何ができるのか考えて、アクションを起こすことから始まっていくもの。ぜひ多くの方にSDGsにつながって欲しい」と呼びかけた。(2017/10/25・K)

 

PAGE TOP