2030年に再生可能エネルギー3割へ――モンゴル環境観光省事務次官に聞く

ecopro_1006_02.jpg 雄大な自然を求めて、多くの観光客が訪れるモンゴル。その恵まれた環境は、再生可能エネルギーを生み出す資源としても注目を集めています。

 ツーリズムEXPOジャパン(写真、9/21-24、東京ビッグサイト)への出展に伴い来日したモンゴル環境観光省事務次官、ツェンゲル・ツェグミッド氏に話を聞きました。

 なおモンゴルにおける環境への取り組みは、エコプロ2017でも紹介される予定です。

――モンゴル政府が環境、観光という2つの分野をひとつの省で管轄しているのはなぜですか?

 かつて、観光を交通インフラなどと同じ省で扱っていたこともあります。しかしご存知のように、モンゴルには手つかずの自然があり、大きな観光資源になっている。エコツーリズムの視点から、現在はひとつの省で取り組むようにしています。


――モンゴルには毎年どのぐらいの外国人観光客が訪れていますか。日本からは?

 年によってばらつきはありますが、おおむね45~50万人です。モンゴル帝国の建国800年にあたり、数々のイベントが開催された2006年には60万人を超えました。

 日本からの観光客は年間2万人前後ですが、近年増加傾向にあります。草原や星空といった風景、あるいはバードウォッチングなどが日本の方には人気ですね。自然との触れ合いに魅力を感じていただいているので、ここをもっとPRしていきたいと思います。


――モンゴルのエコツーリズムは、他の国と比べてどのような特徴がありますか。

 モンゴルには草原、砂漠、山岳地帯といった多様な地形があり、これらを一度の旅行で見ることができます。またモンゴルでは地方に行っても安全に観光できる、ということをお伝えしたい。遊牧民たちはとても親切で、お客さんが来たら厚くもてなす文化を持っています。ぜひ地域の人たちとの交流を楽しんで欲しいですね。

 そして遊牧民の生活を実際に「体験」できるのは、モンゴルならではでしょう。ゲル(移動式住宅)に泊まったり、羊やヤギなどの乳しぼり、あるいは乗馬といった遊牧民の生活がそのまま味わえます。

 政府としてもこうした生活体験型の観光を一層促進するために、ゲルを使ったキャンプ、国立公園でのエコツアーなど、新たなコンテンツづくりを支援しています。

 一方で近年、都市への流出や高齢化、後継者不足などによる遊牧民の減少が懸念されています。ツーリズムの振興で彼らを経済的に支援できればいいのですが、それは対価を求めずに客人をもてなす、という遊牧民の文化と相容れない部分もある。難しいところです。

 数は少ないのですが、海外から観光に訪れて、遊牧民の生活リズムが気に入り、移住してきた人もいるんですよ。日本からモンゴルに移住した女性の暮らしが、日本のテレビ局で紹介されたこともあります。

 個人的には「食」もアピールしてきたいと考えています。例えばモンゴルの羊は多くが農場ではなく放牧で育っていますから、味も、安全性も優れている。食は新たな観光資源になるはずです。何しろ、人口よりはるかに多い家畜がいますから(笑)。またモンゴルでは、ヨーグルトなどの乳製品は各家庭で手作りが基本。そういう体験もできるようにしたいですね。

 日本からはツアーに参加して旅行する人が多いですが、欧米からは、より「冒険」を求める人も来ます。個人で装備をそろえ、家畜を借りて放牧しながら旅をする、といったタイプの旅行です。そういう方々の安全を担保するためにも、標識の整備などを進めていく必要があります。


――そうした観光資源でもある自然環境の保護には、どのように取り組んでいますか。

 まず、観光が盛んになるとどうしてもごみの問題が出てきます。これは環境にとって脅威です。現在、廃棄物処理に関する法整備の議論が国会で進んでおり、そうした制度を通じた解決を目指します。

 そしてモンゴルは地下資源が豊富で、鉱山開発はモンゴル経済にとって重要です。しかしそうした開発が川の汚染など、環境破壊につながるケースもある。川の上流に位置する鉱山の閉鎖を求めたり、鉱山開発の認可にあたって十分な環境保全の対策を求めるといった措置を取っています。


――再生可能エネルギーの活用も進んでいると聞きますが。

ecopro_1006_01.jpg モンゴルはパリ協定に加盟しており、2030年までの目標を立てています。現在、モンゴルの電力はほとんどが石炭による火力発電ですが、その3割を風力など、再生可能エネルギーに切り替える計画です。すでに50メガワット級の風力発電所も建設中ですし、日本のシャープなどが参加した太陽光発電所も稼動しました。

 2030年に再生可能エネルギー3割というのは大きな目標ですが、風力、水力、太陽光など、どこにエネルギー源があるのか積極的に調査し、実現に近づけていきたいと思います。


――国連のSDGs(持続可能な開発目標)についてはどうですか。

 SDGsでは複数のゴールがありますから、それらをどう関連付けて取り組んでいくかが重要です。例えば「教育の向上」を図るためには学校の建設が欠かせませんが、そのプロセスでも、暖房効率を上げて低炭素に配慮した構造にするなど、温暖化への具体的な対策を盛り込みます。

 都市開発においても、環境に配慮した計画は金融機関から優先的に融資を受けられるようにする、といった、環境保護と経済成長を両立させるような仕組みを用いていきます。


――すでに政府レベル、民間レベルで日本とのさまざまな協力関係が生まれていますが、今後日本にはどのようなことを期待しますか。

 やはり技術面でしょうか。日本からの技術供与を受けるだけでなく、モンゴル国内でエンジニアを育成していくためにも、日本と積極的に交流していきたい。日本人は忍耐強く、とても責任感がある。知識だけでなく、そうした仕事に対する姿勢も、モンゴルの若者に学んで欲しいですね。

 そして、モンゴルの恵まれた自然をエネルギーに変える再生可能エネルギー事業に、日本企業からの積極的な投資を期待しています。モンゴル、日本の両国にとってメリットがあると思います。(2017/10/06・I)
 
★エコプロ最終日(9日)に、モンゴル エネルギー省 大臣顧問のレクチャーがイベントステージで行われます。こちらにもご注目ください。

http://eco-pro.com/2017/conference/000729.html#date1209

 

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